プロローグ

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朝というのは世界中のどこにでもやってくる。 どこに隠れていたのかわからない太陽が「起きろてめぇら」みたいな感じで顔を出し、夜というカーテンを開けていく。 それを合図に地上の人々は活動を開始する。 背広に身を包み会社へと向かうサラリーマンにエプロン姿でゴミ捨てをする主婦、皆それぞれの行動をとっている。 そして、ここにも一人。 少年がある家から姿を現す。 制服姿の少年は家から出ると、迷わずポストまで歩いて行く。 「おはよう。 んー……なしか。」 少年は門のところにちょこんと座る猫にあいさつする。そしてポストの中身を確認しそう呟き、家の中へと戻って行った。 家に入った少年は次に台所へ向かう。 制服の上からエプロンを着け、冷蔵庫から卵やら食材を出すあたり、朝食を作るのだろう。 男子にしては手際がよく、物の10分程度で、焦げ目のない黄色いスクランブルエッグ、こんがりと焼け脂の乗ったベーコン、綺麗な焦げ目がついた食パン、そして、なんとも香が良い紅茶にミルクを加えたミルクティーをテーブルの上に並べた。
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