80人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
朝というのは世界中のどこにでもやってくる。
どこに隠れていたのかわからない太陽が「起きろてめぇら」みたいな感じで顔を出し、夜というカーテンを開けていく。
それを合図に地上の人々は活動を開始する。
背広に身を包み会社へと向かうサラリーマンにエプロン姿でゴミ捨てをする主婦、皆それぞれの行動をとっている。
そして、ここにも一人。
少年がある家から姿を現す。
制服姿の少年は家から出ると、迷わずポストまで歩いて行く。
「おはよう。
んー……なしか。」
少年は門のところにちょこんと座る猫にあいさつする。そしてポストの中身を確認しそう呟き、家の中へと戻って行った。
家に入った少年は次に台所へ向かう。
制服の上からエプロンを着け、冷蔵庫から卵やら食材を出すあたり、朝食を作るのだろう。
男子にしては手際がよく、物の10分程度で、焦げ目のない黄色いスクランブルエッグ、こんがりと焼け脂の乗ったベーコン、綺麗な焦げ目がついた食パン、そして、なんとも香が良い紅茶にミルクを加えたミルクティーをテーブルの上に並べた。
最初のコメントを投稿しよう!