第1章―独裁国家ディクトニア

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都市の若者たちも、農作業に駆り出されている。 「おいローゼ、野菜の詰め込みは終わったか?」 「うん、終わったよ」 青年ローゼもその一人だ。 「もう仕事ないよね?」 「そうだな……納品も終わったし」 彼の父親は、うーんと腕組みをする。 「いいよいいよ、無理に仕事見つけないで」 ローゼは何かしたいことがあるらしく、必死で父親を説得している。 「あなたー、こっちの野菜見てくれるー?」 彼の母親が、声を荒げる。それを聞いた彼の父親は、「あぁわかった、すぐ行く」と言った。 「じゃあ」 ローゼはそれを口実に背を向ける。 「遅くなるなよ!」 ローゼはこくりと頷いた。
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