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階段を上っていると何かから隠れるように座り込んでいる担任と奈津を見つけた。
「ハァハァ……奈津!」
切れ切れの呼吸から声を絞り出し奈津の名前を呼ぶ。
「……麗子、なんで?帰ったんじゃ」
驚いている奈津をよそに私は踊り場から、階段を駆け上がり奈津を抱き締めた。
「ごめん、ごめん。奈津……」
「麗子?」
「私、北川のこと好き……嫌いなふりしてなきゃ、自分の気持ち押さえることできなかった」
「麗子……」
「でも、もう気付いちゃったよ……気持ち押さえらんない。奈津が北川好きなの知ってたのにごめん……ごめん。」
抱きしめている奈津の体が震えている。
「……何で麗子が泣くの?」
「奈津だって泣いてるじゃん……」
「っ……これは、これは可笑しくて泣いてんの。」
「可笑しい?」
パッと奈津から離れ顔を見る。
「そうだよ、いつの話してんの?それ話したの高1だよ?さすがに、もう好きじゃないって。」
そう言って涙をためながら笑う奈津。
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