嫌いな人

4/17
前へ
/982ページ
次へ
パンパン 立ち上がりスカートについた汚れを払う。 「どうしたのこれ?」 そう言うと奈津は、廊下に落ちているガムテープでしっかりと止められたダンボールを指差した。 「あぁ、それは地域の人たちが本を提供してくれたんだよ。」 おそらく、私とぶつかったときに北川が落としてしまったのだろう。 「ね、麗子。手伝ってあげよ?」 は!? 何を言い出すんだこの子は! 「あ、いいよ。ほんと重いし」 気をつかって断ってくれる北川。 「重そうだから手伝ってあげるの!」 すると、更に奈津は食らいつく。 「止めといた方がいいよ。気持ちだけで。」 苦笑して再び断る北川。 「麗子、お願い!」 そう言って、私の目の前で手を合わせて頼み込んでくる奈津。
/982ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加