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「智司。顔がマジだからやめて。」
苦笑いの北野は若干、引き気味。
「先生、赤木さんの体調が悪いので一緒に帰ります。」
授業を進行している教師にそう告げて、隣の席の机にかかっているカバンを手に取り教室を出た。
妹の珠子は、俺の親父が愛人との間に作った子どもだ。
生まれた時から、我が家にいるが俺の母親が珠子に鷹宮の姓を名乗らせたくないという理由から苗字が違う。
育ての親である、俺の母親は珠子を毛嫌いしている。
ガラッ
「帰るぞ、珠子。」
「お兄ちゃん……わざわざ、ごめんなさい。でも、私一人で帰れるよ。」
俺が、お前を一人であの家に帰したくないんだよ。
「うるさい。お前のせいで、とっくに授業はサボる羽目になってたんだ。黙って言うことを聞けよ。」
「はい……」
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