恋去る

11/29
前へ
/982ページ
次へ
「で、今回はどういう手で?」 「……」 教室から出て行った珠子を見送り北野は俺の前の席に座る。 「珠子に好意を持ってるとかいう男を使っただけだ。珠子に怪我をさせたって奴を匿名で教えた。ただそれだけ。」 勿論、その男が感情的になるとすぐに手が出るような奴で、何度も暴力事件を起こし停学をくらっているのは知っていた。 「はは、さすが。でも、今回ばかりは妹ちゃん大体、気付いちゃったみたいだね。」 誰のせいだと思っているんだ。 「どういうつもりだ?」 「別に。入院っていうのはさすがにビビっただけ。」 ガタッ 「あっそ。」 「どこ行くんだよ?授業始まるぞ?」 立ち上がる俺を見上げ北野は首を傾げる。 「珠子を探しに行く」
/982ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加