恋去る

15/29
前へ
/982ページ
次へ
ずっと、優等生を演じてきた。 家でも学校でも。 普通の人間だと思われたくて。 本当の自分を知られたくなくて。 でも、愛してしまったんだ。 俺は、お前を愛していたんだよ……珠子…… 「へへ……」 俺の横で寝そべって笑う珠子。 「何笑ってんだよ」 「初めてが、お兄ちゃんとでよかったって……」 学校だけどな。 「早く、服着ろ……」 俺は上体を起こして乱れた制服をととのえる。 「お兄ちゃん、嘘じゃないよ。本当に好きだからね。」 俺だって好きなんだよ。 言わないけど。 「ほら、二つも授業サボってたら、さすがにまずい。今から行っても遅刻だけど急ぐぞ。」 「あ、はい!」 服を着て慌てて立ち上がった珠子の手を引いて階段を駆け下りた。 俺は……今日、妹を抱いたんだ。
/982ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加