恋去る

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カチャ 「ただいま」 玄関の扉を開け家へ入ると、いつも出迎える母親がいなかった。 鍵も開けっ放しで出かけてるのか? 不用心だな。 「お義母さん、出掛けたのかな……?」 「さあ?」 不安そうな顔をする珠子の頭にポンと手を置く。 すると、珠子は顔を上げて俺に笑顔を見せる。 いつものように、玄関からそのまま真っ直ぐ歩いてリビングの扉を開けた。 そこには、キッチンに立つ母親がいた。 「!?」 「お義母さん!」 「いたんだ?なに、電気もつけないで。」 ビックリした…… もう夕暮れだというのに家の中は薄暗い。 「……智司、この子と話がしたいの自分の部屋にいっててくれるかしら?」 は? 母親は俯いたままこちらを見ない。
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