恋去る

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「どうして?」 珠子とアンタを二人っきりになんかさせるわけないだろ? 俺は、こちらを見ない母親を睨む。 「お願いよ!智司!!」 リビングに響く怒鳴り声。 この人が俺に怒鳴ることなんて今まで一度だってなかった。 ……嫌な予感がする。 「嫌だ」 「何言ってるのよ、智司?」 俺の言葉に母親は俯いていた顔を上げる。 「だから、嫌だって言っただろ。」 その瞬間、母親の顔が怒りに満ちた。 完全に油断していた。 珠子めがけて母親が勢いよく向かっていく。 その手には包丁が。 やめろ 「アンタたち親娘はいつも私の大切なものを奪う!!」 珠子!逃げろよ! 「やめろよ!!」
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