276人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして?」
珠子とアンタを二人っきりになんかさせるわけないだろ?
俺は、こちらを見ない母親を睨む。
「お願いよ!智司!!」
リビングに響く怒鳴り声。
この人が俺に怒鳴ることなんて今まで一度だってなかった。
……嫌な予感がする。
「嫌だ」
「何言ってるのよ、智司?」
俺の言葉に母親は俯いていた顔を上げる。
「だから、嫌だって言っただろ。」
その瞬間、母親の顔が怒りに満ちた。
完全に油断していた。
珠子めがけて母親が勢いよく向かっていく。
その手には包丁が。
やめろ
「アンタたち親娘はいつも私の大切なものを奪う!!」
珠子!逃げろよ!
「やめろよ!!」
最初のコメントを投稿しよう!