恋去る

20/29
前へ
/982ページ
次へ
ボンッ 「きゃ!」 悲鳴を上げて、尻餅をついた母親。 俺は咄嗟に持っていたカバンを母親に投げた。 「はぁはぁ……ふざけんなよ?なに刃物なんか向けてんだよ。殺す気かよ?」 心臓の音がやけに大きく聞こえる。 相当、動揺している。 走ったわけでもないのに、息の切れようが尋常じゃない。 珠子はショックで動けないでいる。 「珠子!逃げろ!」 すぐ後ろに玄関へつながる扉があるじゃないか! なんで動かないんだよ! お前、このままここにいたら殺されるぞ! 「私には、もう智司しかいないのよ!!智司まで奪うっていうの!?ふざけないで!!」 嫌な予感がしたんだ。 なんで、アンタが知ってるんだ。 俺と珠子のことを……。 なんで、アンタが知ってるんだよ……
/982ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加