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ボンッ
「きゃ!」
悲鳴を上げて、尻餅をついた母親。
俺は咄嗟に持っていたカバンを母親に投げた。
「はぁはぁ……ふざけんなよ?なに刃物なんか向けてんだよ。殺す気かよ?」
心臓の音がやけに大きく聞こえる。
相当、動揺している。
走ったわけでもないのに、息の切れようが尋常じゃない。
珠子はショックで動けないでいる。
「珠子!逃げろ!」
すぐ後ろに玄関へつながる扉があるじゃないか!
なんで動かないんだよ!
お前、このままここにいたら殺されるぞ!
「私には、もう智司しかいないのよ!!智司まで奪うっていうの!?ふざけないで!!」
嫌な予感がしたんだ。
なんで、アンタが知ってるんだ。
俺と珠子のことを……。
なんで、アンタが知ってるんだよ……
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