恋去る

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再び、珠子に刃物を向けた母親。 「お兄ちゃん……」 俺を見た珠子の目には涙が溜まっている。 「お兄ちゃん逃げて」 なに言ってんだよ。 お前をおいて俺が逃げるわけないだろ。 「どうして!!どうして私の大切な人たちをアンタたち親娘は奪うのよ!私がなにしたって言うのよ!!」 誰かが俺と珠子のことを見てたんだ。 でも、一体誰だ……? 誰がこの人に話したんだ。 「いい加減にしろよっ!!何を誰に聞いたか知らないけど、アンタは何を見たって言うんだ!全部聞いた話だろ!!」 「っ!?」 俺の言葉に急に大人しくなった母親。 所詮、こんな言葉その場しのぎだ。 これ以上、珠子をこの人の側において置くわけには…… 「聞いただけじゃないわ……」 え?
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