恋去る

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ーーーーーーーーーーーー 「おかーさーん」 「あら、珠子。なーに、これ?」 「おにーちゃんといっしょにつくったの!」 「あら、素敵。ありがとう。」 そう言って、幼い珠子は母親に白詰草の花飾りを手渡す。 幼い頃は、母親は普通に珠子を愛していたんだ。 親父がよそで作った子どもとか関係なく、俺と同じように……。 だけど、俺が珠子にキスをしたから、それがどんどんエスカレートして…… まだ、幼かった俺たちは知らなかったんだ。 その行為が何を意味するかも分からずに。 母親にその行為が見つかった時、母親はおかしくなった。 きっと、珠子が夫を奪った女と重なってしまったんだ。 だから…… 珠子を嫌う原因を作ってしまったのは俺なんだ。
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