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「妹ちゃん!救急車呼んだから!これ以上、ここにいたらおかしくなる。」
グイッ
北野は座り込む珠子を無理矢理立たせて、リビングから引っ張り出す。
「智司!絶対、絶対助けるから!妹ちゃんもお前も!!」
「きた、の……」
ありがとう……
お前のこと少しでも疑ったりして、ごめん。
友だちだと言ってくれたのに……
「お兄ちゃん!!」
北野に引き摺られていく珠子は俺を呼ぶ。
本当に卑怯なことしたよ。
お前の記憶から絶対に消えてなくならない方法で俺は逃げ出したんだから。
珠子の叫び声がだんだん小さくなり、俺も目を閉じる。
リビングは俺と母さんの血の臭いが充満している。
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