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ふと足を止めて、後ろを振り返る。
ここは彼女が好きだと言っていた場所。
「なぁ、乃亜」
誰も答えない。
「乃亜、」
乃亜なんてもういない。
「…愛してたよ」
彼女が生きていたら、ちゃんと言ってあげられてたのに。
ほんの少し顔を歪め、素直じゃなかった昔の自分を嘲笑う。
ごめん。
「…ざまーねぇな。」
こんな場所でいつまでも感傷に浸っているわけにもいかず。
「…」
泣きそうな自分をなんとか抑え、
その場から離れた。
『…いつもそばにいるんだから、そんなことわかってるのに…
…私もだよ。』
彼が去ったあとには、顔を赤らめ
静かに微笑む
愛しい彼女が姿があった。
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