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パラソルの影にハルカはマユを下ろした。
「総帥…。すみません…。」
「何を謝る…?」
マユは俯いた。
「あたしのせいで…みんなに迷惑を掛けてしまって…。」
マユの顔は泣きそうだった。
すみません…総帥…。
マユはすまない気持ちでいっぱいになり、涙が頬を伝った。
「すまなかった…。」
「え?」
マユは顔を上げた。
「波が高くなっていたのにも関わらず、泳ぎに行かせてしまった…。泳ぎに行かさなかったら、こんなことにはならなかったはずだ…。俺のせいだ…すまない…。」
「いいえ。あたしがいけなかったんです…。あたしが…これくらいなら大丈夫だ、と勝手に判断して泳いでしまったので……。あたしが…っ…悪いんです…っ……。」
マユはぽろぽろと涙を流し、泣き出した。
「泣くな。」
ハルカはマユの目尻にキスをして、涙を舌で舐めとった。
「お前は悪くない…悪いのは俺だ…。」
「あたしが…悪いんです…。」
「俺が…っ!」
ハルカの言葉を遮るように、マユは口づけた。
唇が離れた。
「もう済んだことですから…、あまり深く思わないようにしましょう?」
「そうだな…。」
ハルカはマユを抱き締めた。
「総帥…?」
「名を呼べ…。」
「ハルカ…。」
二人は見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねた。
夕日の光が、二人を包んでいた…。
END
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