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「ぷはっ!」
ハルカは顔を上げ、マユの様子を見た。
「水を飲んでるな。」
ハルカは浜辺に向かって泳いだ。
「総帥ーーーっ!」
誰かの叫び声が聞こえ、ハルカは動きを止めた。
「総帥!」
チアキ達が来た。
「お前ら…。」
「っ!高嶺!」
セツハが意識のないマユに気づいた。
「水を飲んでいる。早く浜辺に行くぞ。」
「はい!」
みんなは急いで泳いだ。
浜辺につき、ハルカはマユを抱き上げた。
「ユリ。タオルを持ってこい。」
マユを寝かし、ユリに命令した。
「はい。」
ユリは急いでタオルをとりに行った。
「何をするんです?総帥。」
ハルカは何も答えず、マユの気道を確保した。
そして、唇を重ね、息を吹きかけた。
息を二回吹きかけた後、マユの胸を押し始めた。
「(マユ…。生きていてくれ…。)」
そう願いながらハルカは胸を押し続けた。
しばらくして…、
「うっ…」
声が漏れた。
「っ…、ゲホッ、ゴホッ…。」
マユがむせ始め、水を吐き出した。
「マユ!」
「高嶺!」
マユがうっすらと目を開けた。
「総…帥…。み…んな…。」
「大丈夫ですか?高嶺!」
ヨシキが安堵した声で言った。
「あたし…。」
「総帥様!」
ユリがタオルを持って戻ってきた。
「総帥様!タオルを…!高嶺様!」
ユリが目を覚ましたマユに気づいた。
「高嶺様!良かった…。」
ユリは目に涙を溜めて安堵した。
「みんな…心配かけて…ごめんね…。」
「マユ!ほんと良かった!焦ったぜ!」
チアキがマユに抱きついた。
「チアキ…苦しい…。」
「マユ…生きてて良かった…。」
ベリィ!
ハルカが勢いよく剥がした。
「バカか。」
「ごめんなさい。」
チアキは頭を下げた。
「こいつを休ませる。」
ハルカはマユの体をタオルで包み、その体を抱き上げた。
「あの、総帥様。私も…。」
ユリが傍に行こうとするが、
「必要ない。」
と、断られた。
「でも…。」
ユリは問い詰めるが、ハルカが赤い瞳をユリに向けて制止した。
「あ、はい。すみません。」
ユリは俯いて謝罪した。
ハルカはそのまま歩き始めた。
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