海での出来事…

10/11
前へ
/11ページ
次へ
「ぷはっ!」 ハルカは顔を上げ、マユの様子を見た。 「水を飲んでるな。」 ハルカは浜辺に向かって泳いだ。 「総帥ーーーっ!」 誰かの叫び声が聞こえ、ハルカは動きを止めた。 「総帥!」 チアキ達が来た。 「お前ら…。」 「っ!高嶺!」 セツハが意識のないマユに気づいた。 「水を飲んでいる。早く浜辺に行くぞ。」 「はい!」 みんなは急いで泳いだ。 浜辺につき、ハルカはマユを抱き上げた。 「ユリ。タオルを持ってこい。」 マユを寝かし、ユリに命令した。 「はい。」 ユリは急いでタオルをとりに行った。 「何をするんです?総帥。」 ハルカは何も答えず、マユの気道を確保した。 そして、唇を重ね、息を吹きかけた。 息を二回吹きかけた後、マユの胸を押し始めた。 「(マユ…。生きていてくれ…。)」 そう願いながらハルカは胸を押し続けた。 しばらくして…、 「うっ…」 声が漏れた。 「っ…、ゲホッ、ゴホッ…。」 マユがむせ始め、水を吐き出した。 「マユ!」 「高嶺!」 マユがうっすらと目を開けた。 「総…帥…。み…んな…。」 「大丈夫ですか?高嶺!」 ヨシキが安堵した声で言った。 「あたし…。」 「総帥様!」 ユリがタオルを持って戻ってきた。 「総帥様!タオルを…!高嶺様!」 ユリが目を覚ましたマユに気づいた。 「高嶺様!良かった…。」 ユリは目に涙を溜めて安堵した。 「みんな…心配かけて…ごめんね…。」 「マユ!ほんと良かった!焦ったぜ!」 チアキがマユに抱きついた。 「チアキ…苦しい…。」 「マユ…生きてて良かった…。」 ベリィ! ハルカが勢いよく剥がした。 「バカか。」 「ごめんなさい。」 チアキは頭を下げた。 「こいつを休ませる。」 ハルカはマユの体をタオルで包み、その体を抱き上げた。 「あの、総帥様。私も…。」 ユリが傍に行こうとするが、 「必要ない。」 と、断られた。 「でも…。」 ユリは問い詰めるが、ハルカが赤い瞳をユリに向けて制止した。 「あ、はい。すみません。」 ユリは俯いて謝罪した。 ハルカはそのまま歩き始めた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加