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「私達のしていたことは、きっと過ちだったのです。もう、やめましょう」
青海の女性が声を揺らす。その声は、総てを内包したかのような声音だった。
「過ちなど、とうの昔に終えている。これはその過ちを正す為の行為であるはずだ。お前もそれは了承していただろう。現に、何度も繰り返してきたことだ。お前も、共に」
「ええ、その通りです。もう何回、やり直したのかすら覚えてられないほどに……」
「ならば」
「ですが、私は気付いてしまったのです。過ちとは……罪とは、きっと償い切れるものではないのでしょう」
「…………」
「私達の贖罪に、“この子達”を巻き込むのは、もうやめにしたいのです。罪とは償うものではなく背負うものなのでしょう」
彼女達が足元を見遣る。そこには、巨大な青が浮かんでいた。それは、まるで惑星のような――。
「罪を償おうとすることが、更なる罪だとでも?」
「…………」
「ふん。まあいい。お前がやらんと言っても、ましてお前が立ちはだかろうとも、私は辞めるつもりはない」
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