Scene of secret memory

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白銀の女性は、その背に背負う冥黒の大剣へと手をかけた。 そして、それをゆっくりとした動作で引き抜く。 剣に装飾はない。色もない。黒が剣の形を創ったかのような剣だった。 「あなたならそうするでしょうね……。私も覚悟は決めていました」 「なら、話は早いな。武器を取れ」 「大切な友を、かけがえのない存在を失う覚悟。これもまた罪なのでしょう」 「……何を」 「さようなら。私の大切な大切なあなた」 「なっ……!」 白銀の女性は目を見開いた。冥黒の剣を構えるが、それは既に手遅れ。 (まさか……、これは……!?) 白銀の女性が歯噛みする。 「世界が……割れる……!」 足元に浮かぶ青い巨大な、全貌をも見渡せないような球に、一筋の光が走る。 そこから、対峙する彼女達を引き裂くように、あるいは決別のように光の奔流が溢れだし、その光に沿って、青い球はゆっくりと二つに分かれていく。 やがて、割れた世界の奔流は、白銀の女性をも飲み込んだ。 「っ、イリアァァアァアアァアアァア!」 白銀の絶叫もやがて光に飲まれ、聞こえなくなった。 青海の女性――イリアは、その純白の光を慈しむように眺める。 「ごめんなさい。あなたの分まで頑張るから……。罪は私が背負うから……」 星のような碧眼から、煌めくものが頬を伝った。 「さようなら、シュヴァルツ」 ――それは、まるで一筋の流れ星のように漆黒の海を滑り落ちていった。 .
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