人間なんてダイキライ

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「じゃぁ私つけていい?」 「……は?」 「名前だよーぅ!そうだなぁ…」 おい、待て。まだ良いと言ってな… 「シャラアール」 「しゃ…シャラアール?」 「うん!あ…もしかして気に入らなかった?それじゃぁねぇ…」 といってまた考え出すヴィーヴィル。 でも俺は気に入らなかったとか、他のがいいとかそんなんじゃなくて… 「それがいい。」 「え?…あーーーー!」 大声あげるなり俺を指差すヴィーヴィル。 俺はびっくりして思わず耳を立ててしまう。 「な…なんだよ」 「ね、もう一回!」 「何が」 「もう一回笑って!!」 「え?」 「笑って!さっきみたいに!」 「…………」 俺はどうやら名前をつけてもらったときに笑っていたらしい。 自分では気がつかなかったけどそれが思いがけず嬉しかった様だ。 俺はそれを今度ははっきりと自覚して思わず笑う。 そうしてヴィーヴィルも嬉しそうに笑った。 外に出て初めて会ったのは人間のガキんちょ。 人間は嫌いだけど、こいつは嫌いじゃないかもしれない。 「これからよろしくね!」 「あぁ…………あ?」 今何ていった? よろしく? 何が…? 「ようし!そうと決まったらシャラの食器とかも買ってくるぞー!」 「ちょっと待て!俺がいつ一緒に住むって言った!?」 「えー?いいじゃん!」 そう言って鞄に財布をいれていってきまーす!と出て行くヴィーヴィル。 な…なんで勝手に! このまま出て行く事も考えたが、あいつ鍵かけていかなかった… こんな森の奥とはいえ、鍵かけないで行くなんて無用心にも程がある! そう思ったら文句の一つでも言ってやりたくなった。 あー!クソっ!前言撤回。やっぱり人間って嫌かも。 俺の話なんか聞きやしない。 ちくしょう! 帰ってきたらうんと文句言ってやる! それから泣かせて… うんと甘やかしてやる。 名前をくれたお礼にな。
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