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彼は創られたもの。
人間と獣の血を混ぜて作られた獣人。
他にも創られてきたものもあったが、成功は彼だけだった。
色々実験などされた。
何故ならば人ではないからだ。
人体実験は何かと法がうるさいが彼は人間ではない。
だから色々な実験をされた。
生まれてきたくなどなかった。
何のために創られたのか…
いや、意味はないのだろう。
人間が自分の力を示すために創ったのだ。
創った者、創造主には絶対服従。
はじめ彼の中にあったものはそれだけだった。
でもある時、薬をうたれて自我が芽生えた。
それはいいことだったのか悪いことだったのか…
それからされること全てが苦痛だった。
『絶対服従』なんて感情はもうない。
何の血を混ぜたのかは知らないが、それが奴らの仇となったようだ。
だから雨の日に…
自分が動けなくなるとみんなが知っている日に脱走を決行した。
面白いくらいに警戒が甘かった。
だから簡単に逃げ出せた。
本当だったら自分をいつもつないでいた装置も壊してきたかったのだが時間が無かったので断念した。
(それを壊したら全部吹き飛んでたかもな…)
そう思うと少し惜しい事をしたと思う。
「あいつらなんて全部死ねばいいんだ」
自分を物としてしか見ていない奴らのやる事は、それはもう散々だった。
そうやって扱われてきたから殺意は十分。
自分は頑丈に出来てたから多少のことでは死なない。
たとえその施設が大爆発しても彼は生きているだろう。
「あーーー、惜しい事した!」
何の血の影響かわからないが知能指数は高く、知識も豊富に持っていた。
やっぱり戻ってぶっ壊してやろうか、なんて考えても実行は出来るだろう。
それでもあんな檻に自分から近づくなんてしない。
もう二度と戻るもんか。
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