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葉がサワサワと鳴る。
雨だけれどじめじめしていない。
もっとも、雨が降っているというだけで体はだるいのだが…
目を閉じて森の空気を味わう。
薬のにおいもしない。
するのは緑と水の匂い。
不快な機械音もしない。
するのは木々が風に揺れる音と雨の音。
体がだるいのは変わらないが、その空気が心地よくてうとうととしはじめる。
しかし、意識を手放そうとしたちょうどまさにその時…
がざっ
遠くでかすかに音が聞こえた音と、人間の気配に彼はローブを被り警戒態勢をとる。
フードの中で耳が動く。
尻尾の毛が逆立つ。
がさっ、がさっ…
その音は次第に近づいてくる。
(奴らか…?)
そう思ったが気配が違った。
「あれぇー?どうしたの?」
そいつの開口第一声はそれ。
どうしたもこうしたのもない。
人間がいなそうだからってここに来たのに、なんでさらに森深いところから人間が現れるんだ…?
「なんだお前は」
「私はお買い物だよー」
自分の半分くらいしかないそいつは俺に近寄ってくる。
「風邪ひいちゃうよ。私の家こっちー」
俺のローブのすそを引っ張って…っておいおい!
「なんだお前は!」
「私はヴィーヴィルだよ?」
「名前を聞いてるんじゃない。何をする、手を離せ」
「風邪ひくのー。ほら、おいでって!」
「なっ…離せよ!」
「いやー!行くのー!」
はっしとローブをつかんだまま離さないそいつは大きな目に涙をためながら俺を見る。
「な…泣くなよ!?」
「じゃあ私と家に行くのー!」
「放っておけって言ってるだろう」
「やだぁーーーーー!!一緒に行くんだってばーーー!!」
大きな声を上げながら突然泣き出したそいつに俺はどうすればいいってんだよ。
おろおろしても泣き止まない。
だるい体にその声は頭に響いてしょうがない。
「あーーーっ!わかった!行くから泣き止め!!」
「…本当?」
まだぐしぐし言いながらそいつは俺を見る。
そんな眼で見るな、そんな目で!
俺がいじめたみたいだろう。
勝手にそっちが泣き出しただけなのに…
「あぁ…行くから泣き止め」
「ん。」
ごしごしと目を手でこすりこっちだよ、と俺を引っ張る。
はぁ…なんでこうなった…?
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