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連れてこられたのは小さな一軒家。
ドアを開けてまず目に飛び込んできたのは小さなテーブルと椅子。
その奥に小さな暖炉。
他にその部屋にあるのは棚とキッチン。
それと玄関をのぞくと二つのドア。
家の大きさから見ても風呂とトイレだろう。
「さ、濡れた服脱いで?」
ぐいぐいとローブを引っ張るそいつ。
「なっ、離せよ」
「う…脱ぐの…っ」
目に涙をまた溜めて俯くそいつ。
ま…また泣くのか!?また泣くのか!!?
ウザイから泣かないでほしいんだけど。
頭痛くなるし。
ってかフード取ったら耳見えるし。
俺がどうして良いかわからず固まっていると、そいつはきっと俺を睨んだ。
そして次の瞬間…
「脱ぐのーーーーーっ!」
「なっ!!」
毟り取られた。
そいつは俺より小さいから、ローブを引っ張られると必然的にフードが原因で体が前かがみになる。
そのまま俺は床に座る羽目になった。
ばさっとローブを取り去って見えたそいつの顔は、今にもそのでっかい目がこぼれ落ちそうなんじゃないかってくらい見開いていて、口からはマヌケな奇声。
「ほわぁ!?」
ローブが取られたらもちろん頭が見えるわけで。
多分そいつが見てるのは俺の耳。
「猫さん?」
「猫言うな」
「あ、しっぽ。犬さん?」
「犬じゃねぇ」
「ふーん?」
わかってるのかわかってないのかそいつはそんな声で反応を返す。
さっきまで泣きそうだったのはどこへやら…
驚いた拍子に涙も止まったようで今はちょろちょろ動き回って前から後ろからと俺を観察してる。
「じろじろ見てんじゃねぇよ」
「あ!そうだった。ほら、服脱いで」
「……は?」
「服がびしょぬれなの!乾かさないと風邪ひくよー」
なんで話が戻ってるんだろうか…
ってかなんで俺はこんなガキに服を剥かれてるんだろうか…
「・・・って、やめろーーー!」
「だめー!良いから脱げー!」
脱げー、ってどっかの酔っ払いかお前は!!
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