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暫くしていい匂いがしてくる。
原因は100%あの鍋!
さっきちらっと見たけどなんか白い液体だった。
なんだありゃ…?
こいつはなんか散々泣いた後疲れて眠っちまったみたいだし。
途中から立ってんのは辛いだろうなって思ったから床に降ろして今は座って抱きかかえてるんだけど、なんであんな事したんだか自分でもわからない。
でも体か勝手に動いてて、気がついたらぎゅってしてた。
これも何かの血なのか?
俺の仲にはいろんな動物の血が混ざってるからな。
なんだかわからないけど。
まぁそれは置いといて。
あんまり火つけとかないほうがいいんじゃないか?
でもどうやって火消すか俺知らないし。
申し訳ないけど起こすか…
「おい、起きろ」
「むぅ…?」
そいつは目をごしごしとこすって目を開ける。
それから無意識に鼻をひくひくとさせた。
なんか俺よりも犬みてぇ…
「…って鍋!!!」
ゴッ!!
いきなり覚醒して頭を勢いよく上げた拍子に、俺の顎に激突する。
「っっっっっっ!!!」
「あや?大丈夫?」
「こんんの石頭!!」
なんでそんなになんでもない顔してるんだ!
あの施設で痛覚の実験とかもされてて、痛みにも結構な耐性が出来てる俺が、泣きそうなくらい痛かったぞ!?
「ごめん。そんなことより火!!」
「おい!そんなことかよ!痛いぞ!!」
ふいうちの攻撃を仕掛けといてこいつ「そんなこと」の一言で片付けやがった!
俺の言葉なんか聞こえていないようであわてて鍋の火を止めてる。
「セーフ!」
「チッ…」
まだ痛むあごを押さえながらいると手をくん、と引っ張られる。
「シチューで来たのー。食べよう?」
「……俺のは大目だろうな…」
「いっぱい食べたいのー?いいよー」
さっきまで泣いてたやつとは思えないくらい、今はにこにこ笑ってやがる。
泣いたり笑ったり怒ったり…忙しい奴だな。
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