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軌道エレベーターに絡み付く、蔦のようにして、立体居住区――通称「空中都市」は存在していた。
その第三階層二十四区、標高にして、上空約900mの廃墟――かつては娯楽を満たすための繁華街として賑わった場所であるが、今は見る影もないゴーストタウンである。
その一画に、細い鉄柱に両手を手錠で繋がれて、地面にへたれこんでいる、糊(のり)がすっかり禿げたスーツの男=40代後半/病的な痩せ形/まっしろな頭髪。
ガチガチと歯を鳴らし、肩を震わせながら男は目の前の光景に怯えながら思う――早く終われ。
そして唐突に、“弾かれた何か”が頭上を掠めた。
それは、男が繋がれている細い鉄柱命中し、ギャンという音を発てて、柱を歪ませた。
それにワンテンポ遅れて、目を見開いて、今にも憔悴しそうなほど驚愕する男の顔にさらに募る恐怖が、男の渇望をより濃厚な物にさせていく。
男の眼前――二人の男が、およそ人とは思えない動きでの攻防を繰り広げる光景。
一人=黒髪/両手にはグリップにナイフが付けられた白金&黒金の銃。
一人=白髪/手には刀/身の丈はあろう長物=黒い刀身/鍔の無い柄。
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