the 1st / Ⅰ

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 爆音――サイレンサーも付けず炸裂した銃の咆哮。 黒髪の男がブッ放した弾目がけて、長い白髪を流れる様に動かしながら前進――初発360m/sで直進する弾丸/加速し続ける直径12.7mmの鉛玉目がけて、一閃――まるで軌道が見えているかのよう。  鉛玉=真っ二つ。ただの鉄くず以下の、本当の“鉛玉”に。刃毀(はこぼれ)――無し。  刀を振りかぶった隙を突く黒髪――銃を構え、もう一発おまけにドカン。    加速する超速度の鉛玉――それの排出よりも、白髪の男が先に動いていた。  刀の柄を握り直す。曲芸のようにくるりと回って――再度、鉛玉に一閃=鉛玉がなまりだまに。  切った勢いのまま、白髪の男が加速。すぐに黒髪の男の懐に。  そして一閃/一閃/一閃。  危険回避の脊椎反射=生存本能が男を動かす。  50口径の射撃の余韻を見せず、黒髪の男がバックステップ/さっきまで自分が立っていた所を補足。  撃つ=追撃を断つための予防線。    案の定、躱すだけで追撃をしない白髪――しかし、口元に笑み。  着地――同時に、腹部から血が零れる/腹部に切り傷。  白髪の攻撃がヒットしていた証拠=微笑の原因。  「リーチ長ぇんだよ。刀真っ二つに折んぞ、マスかき野郎」  傷を負わされたにも関わらず、嬉々とした声音――黒髪の男。
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