act.1 アリスの日常

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(私、そんなキャラじゃないんだけどね。確かに女の子は助けたけどぉ、小学生だって) どこをどんな風に噂が回っているのか、…謎だ。 確かに亜梨子は、実際の高校生でも一応はあしらえる。 合気道が4段くらいの腕前…らしい。 本人は、稽古しに道場には行くが、試験とかは全く受ける気がない。 だがら、階級とか持っていない。 ただ、一緒に通っている幼馴染とは渡り合えるくらいの実力があるから、4段くらいの実力だろうと言われているだけだ。 (まぁた、変な風に噂に尾ひれついちゃって、まぁ) そういう変な風にねじ曲がって尾ひれがついた噂には慣れている。 慣れたように、階段をトントントンとリズミカルに降りて行く。 すれ違う生徒は、完全に動きを止める。 長く伸びた輝かんばかりの黒髪。綺麗に整えられた顔立ち。スラリとした身体。 誰もが認める少女なのだ。 階段を降りたばかりの場所で、亜梨子は顔を顰めて足を止めた。
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