亜理子と少年

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目覚めると、いつものベッドの上。 いつのまにか眠っていたらしい。何か夢の中で、たくさんの落し物を拾った様な気がする。 亜理子はカーテンを開けると、長らくしまいこんでいたキャンバスを引っ張りだした。 途中で描くのを止めてしまった一枚。 展覧会に出品するのが怖くて。 「ごめんね。」 埃を払った画面には、透き通るような肌と銀の懐中時計をもつ少年を型どった人形が姿を表した。 ずっとしまいこんでいた。キャンバスに夢の続きを描き始める。 冷たい感触の万年筆で走書きしたタイトルは 『時計うさぎ』 亜理子の描く、少年の眼差しはふてぶてしいほど澄んで、限り無く真っ直ぐなモノだった。 ~終~
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