死にたがりの死体

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「乙女心を傷つけた罰だ。何かおもしろい奇声を上げながら空へ走り出してくれたまえ」 「俺、この空を飛んだら結婚するんだ……」 「地べたと結婚ね……あぁ、真下はコンクリートだったかな」 「………………」 「コンクリートと衝撃的なキッス……ぶちまけるプレーンヨーグルト……」 「ぶちまけるな。ムードが壊れるだろ」 「キャンドルサービスという名の赤いランプとサイレンという名のファンファーレ。その結婚式の様子は地方新聞の端っこに小さく載り、二人は空というハネムーンへ向かったとさ。めでたしめでたし」 「………………」 「あ、因みにハネムーンには夫一人で逝きましたとさ。めでたいね」 「奥さんはどうしたよ」 「コンクリートは飛べないのだよ。だから地べたから『逝くなら一人でお逝きなさい』と言っておられるのだよ」 「冷たい奥さんだね」 「生き物じゃないので」 「ところであんたこそどうしてこんなところにいるんだ?てか、何者?」
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