死にたがりの死体

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「うん? あぁ、最初の話かい?」 「あぁ、死体がどうとかってやつ」 「死体は死んでるから死体で生きていたら死体じゃない。つまり死体の条件は生きていないことで死に続けていることだよ」 「それは当たり前だろ」 「ところがキミはまるで生きている死体のようだ」 「………………」 「死体なのに間違って生きてしまっているから早く死に直そうとしているようだね。死にたがりの死体。なかなかおもしろい言葉じゃないかね?」 「…………なんで俺を死体みたいだと思う?」 「うん? だって今から死ぬっていうのにキミはまるで無表情じゃないか。自殺する人間の顔じゃない」 「……ポーカーフェイスなんだ」 「笑いながら、泣きながら、叫びながら、恨み言をいいながら、安らかに、楽に、苦しそうに、後悔しながら、そんな風に死んでいくのは人間だよ。でも無表情はダメだ。それは人間の死に方じゃない」 「人間じゃないならなんだよ」
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