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「どこのも何も、そもそもそんな技術がまだあるわけないじゃないか」
「子供の夢返せ!」
「現実を知らない子供の妄言なんて振りかざすな。夢と言えば何でも綺麗になるとは大間違いだ」
「……子供のときなんかあった?」
「『パンのなる木を探しに行く!』ってかわいらしく私が宣言したら『そんなのねぇよ』と怒られた」
「なんだそりゃ」
「あれ以来夢を語るのが怖くなった。一種のトラウマだよ」
「なんか……残念な子だな」
「まぁ、冗談はここまでにしよう」
「冗談なのかよ!」
「ずばり言うとキミは自分が生きているのか不思議でたまらないのだろう?」
「ずばりそうですな」
「だから死のうとしてるのだろ?死んでいる方がホントの自分の姿だと信じているわけだ」
「……ずばりその通りですな」
「そのわざとちゃらけた態度や言動も自分がそういう存在だっていうのを悟られないためだろ?」
「………………」
「死体が生きているのはおかしい。キミは自分が生きているのがおかしい。生きている死体が死んで元に戻ろうとするように、キミも死んで正しい姿になろうとしている」
「…………あんた……なんでわかるんだよ……」
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