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そこは、とある闇の都会。
そこでは、一人。
また、一人と人がドミノ倒しのように倒れてゆく。
その人間、血のドミノ倒しの先にクツクツと笑いながら歩く生き物がいた。
それは人間の形をしているが、中身は悪魔そのものだった。
その生きる悪魔が通った後には、必ず血の道ができている。
良識や良心など通用しない生き物が、今も闇に生きていた。
悪魔の持つ刃は、いつでも鮮血で染まり、悪魔の持つ銃は、かえり血で彩られている。
服装なんて詳細を確認するまでもないだろう。
千切れに千切れた黒いマントのようなモノに身体は覆われ、その先は見えない。
この時間にも、一人、また一人と人が倒れてゆく。
その世界には、ただ血の落ちる音と、その悪魔が笑う声だけが響いている。
悪魔の通った後に、一つのゴミ箱があった。
その中に、粗大ゴミのタンスがある。
それはガタガタ揺れ、中からは血ではなく、透明な液体が流れていた。
悪魔が完全に通り過ぎた時、そのタンスが開かれた。
その中からは、グスッグスッと泣く、一人の少年。
彼の涙は、血を避け、光を生んでいた。
彼は、生きている。
少年の目には、幼さはない。
憎しみの心だけが、血が固まったようにこびり付いていた。
少年の始まった、憎しみと復讐の連鎖。
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