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「偉大なる司令官殿。これより被験体0217号の改造手術を開始したく思います。」
鎌取はよく響く声で言った。
彼と共に他の白衣の男達も、天井のランプに向かって右手を高々と挙げている。
ランプは赤々と光を放っている。
「……よろしい、鎌取博士。手術を開始するのだ……。」
ランプの横にあるスピーカーから、男の声がした。
部屋中の空気がビンビン震える程の、恐ろしく低い声だった。
だが部屋の人間は誰一人臆することなく、姿勢を崩さなかった。
「承知致しました。」
鎌取は右手を降ろし、再び手術台に目を向けた。
他の者もそれに倣う。
台の上の青年:被験体0217号は、血の気のない顔をしながら眠り続けていた。
鎌取は小さく息を吐くと、作業に取り掛かった。
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