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手術は数週間後に終了した。
鎌取は痩せこけた骸骨のような顔が更に細くなり、額に大量の汗を溜めていた。
青年の身体はもはや人間のそれとは違うものとなっていた。
顔は黒い仮面(マスク)で覆われていた。
口や鼻は無くなっており、目は複眼になっていて、淡く赤く光っている。
顔の真ん中には銀色の太い筋が一本通っていて、顔を左右に分けていた。
首から下は黒い鎧のようだった。
中世の騎士の鎧のような形だが、それよりもずっと動きやすそうである。
首には長い深紅のマフラーが巻かれていた。
長く伸びたマフラーの先は台から出て、冷たい床にまで達していた。
腰にはバックルの大きな銀色のベルトが巻かれていた。
そしてバックルの中央には青く光るランプが付いていた。
ただ左手首には手術前にされていたブレスレットが健在していた。
そんな異様な姿になってしまった青年は、手術台の照明からの光で光沢を見せ、静かに眠り続けていた。
鎌取は額に溜まった汗を横の男に拭かせ、一息入れた。
そして天井の赤ランプに向かって右手を掲げた。
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