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【小学1年生時代、土岐家に神夜が来る前、神夜の両親が亡くなる前のお話】
水無月家の台所では、
「母さん、歯みがき粉ってどこにあるんだい?流石にこれはもう出が………ん?あれ?神夜もいるのか、どうしたんだいこんな時間に?」
歯みがきと歯みがき粉を手にした神夜パパがやってきた。
そんな神夜パパは何時もは寝る時間なのに台所にいる神夜を見ると多少驚き目を点にしたが、必死にクッキングしている様子なので、とりあえず尋ねながら周囲に目を走らせ考察した。
「チョコ………おっ!そういえば明日はバレンタインデーだったな!もしかして神夜、パパのために……」
嬉しさで涙腺が緩む。
神夜が生まれて初めてのバレンタインチョコの製作なのである。
父親としてこれほどの感慨深いものが年に何度あるか。
「んーん!これはパパのじゃなくてコウくんにあげるの!」
一段階着いたのかキラッと可愛い娘の笑顔が向けられた。
「か、母さぁん!」
予想に反して悲しさで涙腺が崩壊しそうになる。
この父親にとって感慨とは何だろうか、涙脆い人間なのかもしれない。
「もぉ、あなたの分は私が作ってるあげるから………明後日に」
「明後日に!?」
「神夜がね、頑張ってたら………材料が切れちゃったのよ」
明後日を見ながら苦笑する神夜ママ。
目指していたチョコの料理が小学1年生の神夜には難しかったようだ。
因みに明後日な理由は明後日が特売日だからだろう。
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