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【高校1年生時代、昨年、神夜と同棲生活する前、マンション1階の自宅に住んでいる時のお話】
土岐家のキッチンでは夕食後、神夜がケーキを創作していた。
「ふぅ、上出来……よね!」
「おぉ!神夜ちゃん、さっすがぁ!んっふふー♪どれどれ夏樹ちゃんが味見を……」
自分(神夜)が一から作り上げデコレーションを終えたチョコケーキに、キッチンの椅子に座って見ていただけの夏樹が咥えていたフォークを伸ばそうとする。
その魔の手をペシッと叩き、制止させた。
「ちょっともぉ!つまみ食いなら十分してきたじゃない!」
「チッチッチ、趣旨が違うの、趣旨が。今までのはつまみ食い、今からは味見ぃ」
再度フォークを伸ばそうとする夏樹。
「ダメに決まってるじゃない!皆で分けるんだから少しは待ちなさいよ!」
屁理屈は通させずに、サッとケーキを乗せた皿を夏樹から遠ざけた。
「あぁーん、あたしのケェキィ………」
神夜は嘆く夏樹を無視して、土岐家の大黒柱たる恭平、妻の楓、幼なじみの昂平が待つリビングへと運んでいった。
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