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数週間が経ち、コロッケもふらつくことなく歩けるまでに回復した。
時折衝動的に泣き出すこともあったが、その回数も幾分か減った。
――体力的には、そろそろ行けるか。
そう思いながらも、マカロニはコロッケに父親の死体を再び見せることを躊躇った。
定期的に様子を見に行き、腐敗の進行度を確かめていたが、ここらが限界だろう。
コロッケの塞がらない心傷を抉ることになるかもしれない。
少しでも躊躇うなら1人で行く。
作った墓を後から見せてやれば良い。
甘ったるい結論に呆れてため息を吐く。自分はもっと情のない人間だと思っていた。
にも関わらず、あの子供のことになると途端に甘くなる。
その理由原因が全く分からないわけでもなかった。
3つ離れた可愛いおとうと。
まだ幼かった弟を結果的に置き去りにした罪悪感が、弟と同年代の子供に対して甘くさせているのだろう。
どちらにも失礼極まりない話だ。あの子はあの子だというのに。
重い重いため息を吐いて、マカロニはコロッケを探すために立ち上がった。
医者の手伝いをしていたコロッケに、父親の墓造りの提案を持ち掛けると、僅かにも迷った風も見せず、コロッケは決意した面持ちで頷いた。
意外に思う反面、どこか安堵した自分がいたのも事実だ。
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