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――その夜、お母さんの夢を見た。
お母さんはいつもより顔色がよく、にっこり微笑んでいて
『お母さん!元気そうだね!もう病院いかなくていいの?』
『うん、もう病院にはいかなくていいの』
『本当!?じゃあ一緒に帰ろう』
母が前に進もうとしなかったので、腕を掴むと…母は動いてはくれなかった。
少し困った顔をして、首を横に振った。
『ゴメンね…だけどいつもレンの傍にいるからね』
『…?』
そういって反対方向に向かって歩き出していき
レンは、追い掛けても縮まらない距離を走りだした。
『お母さん…!意味がわからないよ!……ねぇ!!…家に戻って…来るよね!?』
ハァ…ハァ…
距離が全く縮まらないまま、おいてけぼりをくらった様に胸がきゅーーっとなる。
そして米粒よりも小さく…小さくなり…
そして見えなくなってしまった。
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