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『嘘でしょ?』
そうだったらどんなに良かったろう。
緩く首を横にふる。
絶望。
驚愕。
愕然。
わかりやすいな。
全部全部顔に出る。
『嘘よね?』
胸ぐらを掴み、揺さぶられる。
頭くらくらするなあ。
『ごめん』
そっと抱きしめた。
『ごめん、茉莉……』
『いつから?……映画も海もプールも遊園地もゲーセンも。全部全部無理してたってこと?』
『無理じゃないよ。したかっただけ』
一緒にいたかった、だけ。
『学校だって!!』
『行きたかっただけ。』
一緒にいたかった、だけ。
『なんでアキなの……?』
そうだな。
なんでオレだったんだろうな。
苦笑するしかない。
『アキ……』
胸元で掠れる声で自分の名前を呼ばれた。
『嘘でしょう?ただの胃潰瘍なんでしょう?』
『茉莉、嘘じゃない』
震える肩を抱きしめる。
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