観覧車

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乗るときに案内してくれた若い係員とは別の、服装は同じだが年配の男性が素早くやってきて、麓の控え室に入るとマイクで伝えた。 「観覧車の故障で一時停止させて頂いております。現在、原因を究明中です。お乗りのお客様には大変申し訳ないのですが、しばらくお待ち下さい。繰り返します……」 アナウンスは三回繰り返された。 観覧車の周囲を歩いていた他の家族連れの客たちは皆、不安そうにこちらを見上げている。 「こんなことってあるんだね……」 依然として小窓から地上の状態を確認しているみさきちゃんが呟いた。 その声には、心配で不安で怖いという彼女の心持ちがふんだんに含まれていた。
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