観覧車

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ぼくたちのゴンドラは、頂上付近でもなく地上付近でもない中途半端な位置で止まっていたのですることがなかった。 地上付近なら自力で脱出できたかもしれないし、もう少し昇っていれば視界いっぱいに広がる景色でも見ながら待っていられたかもしれない。 窓はあったが、換気能力は十分ではなくじっとりと暑かった。 みさきちゃんはもう明らかにここに来たことを嘆いている。 「暑いね。汗かいてきちゃった」 みさきちゃんはそう言って手のひらを顔の近くで大振りに煽いだ。
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