魔法

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「やべえ、やべえ、早く帰らないと宿題が終わらないぞー」 急いでた俺は、下を向いて走っていたので、前から走ってきた女にぶつかってしまった。 「わ、わりい。」 それは中学生くらいのお嬢様で、背は小柄だった。 「いてて・・・。な、なんなのよ!?今急いでるんだから邪魔しないでよ!」 女は焦っていた。 女は周囲を見渡して、残念そうな顔をしていた。 「あーあ、見逃しちゃったじゃない。最悪。」 俺はその女になんと声をかければいいかわからず、わけのわからないことを言ってしまった。 「え、えっと、お名前は?」 女は仰天した。 普通の人じゃこの展開でありえない質問である。 俺は普通の人じゃないってことか。 「はぁ?わけわからないし、急にぶつかっておいて名前は?って、ん?」 女は不思議そうな顔を浮かべて、会話を続ける。 「あなた、練馬高校の高校生ね。練馬高校ってことは足が早いわよね。私と一緒に人探しを手伝ってくれない?」 わけのわからない質問にわけのわからない回答がきた俺は焦っていた。こいつも相当変人だ。あまり関わりたくなかったが、女に手を引っ張られ、通路の裏道にきた。 「私は、天王寺優。優って呼んで。 で、私が探してる人っていうのは・・・」 俺はすぐ様否定した。 「えっと、俺宿題があるんだけど、早く帰らせてくれないかな?」 天王寺は怒った。 「ぶつかっておいてそれはないでしょう?とりあえず私の言うことを聞きなさい。」 俺はもう何を言っても無駄だと思い、耳を傾ける。 「黒いマントの男。大男ね。それを探してほしいの。まだ遠くには行ってないはずだけど・・・」 俺はいやな予感がした。 黒いマントの男・・。 すぐ夢を思い出した。 でもまさかな。 それはないと思い、俺は宿題を早くやりたかったので走って探した。 「はぁ、はぁ・・・」 結局1時間程度探したが見つからなかった。 宿題どころではない。 もう夕日が沈もうとしていた。 「どう?見つかった?」 「全然だめだ。黒いマントの男なんていないぞ。」 天王寺は残念そうな顔をしたが、今日は諦めるようだ。 「ごめんね。我がまま言っちゃって。宿題頑張ってね。」
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