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8月28日
今日は隆に映画に誘われていたが、そんな気分ではなかったので1人で散歩に行くことにした。
空は青く晴れていたが、俺の心は晴れていなかった。
俺はこの何もない日常を楽しむのが一番なんじゃないかともう一度考え込んだ。
そんなことを考えていると、天王寺がテンションを高くして俺の前で飛び上がっていた。
「やったー!!!やったよー!!!」
「どうしたんだ、優。」
この練馬区は狭くはない。天王寺に偶然といえども会えたということは、家が近いのだろうか。
「エンブレムを手に入れたの!」
エンブレムを手に入れた?そんな意図も簡単に?
「一体どうやって手に入れたんだ?」
天王寺は高いテンションのまま答える。
「えっとね、えっとね!町で配ってたの!」
「配る?わけが分からない。どういうことだ?」
「赤髪の女の人が配っていたの。確か、「新たなる戦いの火ぶたがきって落とされる」っていう看板を立ててね。何はともわれやっと魔法が使えるのだー!」
天王寺は笑った後に俺に向かって手をかざした。その手からは光が出ていた。不思議と俺の心は晴れやかになった。
「これが回復魔法ってやつなのか?」
「そう、精神回復魔法。あんた元気がなさそうだったからね!」
そんな手に入れた当日に自在に使えるものなのだろうか。
俺はその配っていた赤髪の女が気になった。新たなる戦いとは何なのか。まさか、あの夢と関係しているんじゃ。
この日から、練馬区、いや、東京内の人間が魔法を使えるようになった。
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