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「あら?宏樹?どうしたの急に」
「洗車ー」
6月も半ばを過ぎた頃、久しぶりに実家に帰った
相変わらず緑一色の田舎に、懐かしい気持ちになる
「お昼はもう食べた?」
「まだ…起きたまま来たし…朝も食ってない」
「じゃぁ、宏樹の分もご飯しなくちゃね」
母さんは俺が来ると機嫌が良い
たまには帰って来てやろうと、母さんを見る度に思う
「早く車、洗っちゃいなさい、おばあちゃんも畑に居るから挨拶ぐらいするのよ」
「おー」
田舎独特の広い庭で車を洗う
今日の夜は佐和子に会うから、車内も掃除した
「宏樹、夜も食べてくでしょ?」
唐揚げを山盛り乗せた大皿を、母さんは運んできた
「いや、夕方には帰る…約束あるし」
母さんの唐揚げはやっぱり旨かった
「あらー残念、お父さんも宏樹に会いたいと思うわよ?」
「また今度」
今度は佐和子を連れて来てもいいな、と思った
真世の事もあって、母さんは俺をずっと心配してるだろうから
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