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いつもの公園に来た
佐和子の姿はまだない
自分を落ち着かせる様にタバコを吸う
吸い終わる頃に、佐和子の姿が見えた
俺の車を見つけた佐和子は、笑顔を振り撒き走る
何も知らない、気付かない、汚れのない笑顔だ
ドアが開いた
「おまたせ、遅くなってごめんね」
「いや…」
慣れた様子で助手席に乗った佐和子が、俺の顔を覗き込んだ
「…宏樹くん、どしたの?」
「…」
言葉が出なかった
今日は真世を思い出し過ぎたんだ
思い出さなくていい様な事まで
「宏樹くん?」
佐和子が眉をしかめる
「ごめん…」
「…え…何?」
「…ごめん」
佐和子は訳がわからず、首を傾げた
「何がごめん、なの?」
「…別れたい」
「えっ…」
佐和子の顔は、見られなかった
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