26/27
3392人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
いつもの公園に来た 佐和子の姿はまだない 自分を落ち着かせる様にタバコを吸う 吸い終わる頃に、佐和子の姿が見えた 俺の車を見つけた佐和子は、笑顔を振り撒き走る 何も知らない、気付かない、汚れのない笑顔だ ドアが開いた 「おまたせ、遅くなってごめんね」 「いや…」 慣れた様子で助手席に乗った佐和子が、俺の顔を覗き込んだ 「…宏樹くん、どしたの?」 「…」 言葉が出なかった 今日は真世を思い出し過ぎたんだ 思い出さなくていい様な事まで 「宏樹くん?」 佐和子が眉をしかめる 「ごめん…」 「…え…何?」 「…ごめん」 佐和子は訳がわからず、首を傾げた 「何がごめん、なの?」 「…別れたい」 「えっ…」 佐和子の顔は、見られなかった
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!