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康介と菜月ちゃんは、用事があるとかで、先に帰った
本当は気を効かせただけだろう
このまま帰るのも腑に落ちないからファミレスに入ってみた
間が持たないのか、飲み物を取ってくれた
初々しさに俺もほころぶ
コーヒーは苦くないかと聞く、おかしなヤツだ
少ししか話はしなかった
相変わらず俺をジロジロ見る
視線を合わすと赤くなるから、そのまま気付かぬフリをした
陽が沈むのが早い
夕暮れ時にはもう、送り届けた
「送ってくれてありがと」
車から降りようとする佐和子を引き留めたのは、俺の以外な一言だった
「試しに俺と…付き合ってみない?」
沈黙だ…自分でも何言ってんだと思ったぐらいだ
「すごい顔」
これでもかってぐらい目を見開いた、本当にすごい顔だ
「あぁっ…いや、ビックリして」
うろたえる姿にまた笑えた
でもしどろもどろになりながらもイエスの返事をもらった
「良かった」
本心だった
「え?」
「いや…今日の様子からしたら、絶対に断られると思った」
俺は一体、何がしたいんだろうか
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