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「じゃ、また」
佐和子は少し嬉しそうな顔をして、車から降りた
今さらだが、どうしてあぁゆうタイプと付き合ってこなかったのか、後悔した
そうすればもっと早くに、俺は俺を取り戻せていたかもしれない
佐和子を降ろした公園を、ナビで地点登録してから車を走らせた
近いうちにまた会いにこよう
今日は久しぶりに笑えたんだ
家に着いてすぐ、携帯が震えた
佐和子かと思った着信は、康介だった
どうして先に帰ったのかと聞くと、やはり何の用事もなかったと言う
『そんなことより佐和子ちゃんはまだ一緒か?』
「いや、もう送って帰ってきた」
『はぁー、あの手の早い宏樹が』
康介がニンマリと笑う様が浮かんだ
「いつの話だコラ」
『ははっ、冗談だよ、佐和子ちゃんどう?菜月が聞けってうるさくてな』
「あぁ…まぁ、また遊んでみるわ」
試しに付き合う事になったとは言わなかった
『そ、まぁ宏樹も変に構えるなよ…そろそろちゃんとした彼女作ってみたら』
もうかれこれ5年経つ
「あぁ」
康介は、俺が真世の事をまだ忘れきってないと知ってるんだろう
忘れるべきなのか
忘れなくていいのか
どっちを選べばいい?
また少し靄がかかる
靄を晴らすように、熱いシャワーを浴びた
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