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店を出て、佐和子の手を引いた 拒まれなかった事に安堵する 「タクシー拾おっか」 佐和子を傷付けたくないから、無理強いはしない 理性が崩れる前に離れたかった でも佐和子は靴擦れして痛いと言った ヒールには慣れてないらしい 抱き上げてもよかったが、支えるだけにした アパートに戻るとまた正座をする佐和子は、酔いが少し醒めたのか、強張っているように見える 小さな救急箱を渡した 「風呂入っていい?その間に手当てしときなよ」 佐和子は黙って頷いた 熱めのシャワーを浴びると、気が引き締まった 風呂から出て、缶ビールとグラスを出した 「呑む?」 呑ませてどうこうしようなんて、思っちゃいない 「足はもう大丈夫?」 「ん、絆創膏もらった…ありがと」 佐和子はビールをぐいっと呑んだ
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