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高校生が群をなしてゾロゾロ歩く その中に佐和子を見つけた 佐和子は車に気付いて、小走りに駆けてくる 初めて制服を見たが、見るのは今日で最後か 今時の短いスカートに、張り切って巻いただろう栗色の柔らかそうな髪を揺らして、車に乗って来た 挨拶も程々に車を走らせる 佐和子はゆっくり目を閉じると、寝てしまったようだ 適当に車を走らせたつもりだったが、あの海に着いた 佐和子と初めて会った日に来た海 車を停めても起きない佐和子をそのままに、車から降りた タバコを吸い、コーヒーを買って、車に戻る 寝息も立てず目を閉じた佐和子は本当に気持ち良さそうだ ボタンを外した胸元から白い肌が覗く 短いスカートや安心しきった寝顔もそうだが、女はどうしてこうも無防備なんだろうか そんな事を思いながら、缶コーヒーを開けた その音で佐和子が目を覚ました 「すっげー寝てたし」 慌てた様子で謝る姿が可愛かった 長い遊歩道を歩いた 手摺にもたれ海を見た タバコを吸い始めると、ベンチに座ってた佐和子が、隣に来た 俺の右隣に置かれた小さな手を握り占めた ふと目が合った時、身体が勝手に動いたんだ 佐和子も求めてるような気がして その後の視線をずらした佐和子の顔は少し赤く、もっと苛めたい衝動にかられる 佐和子の頬に手をやり、もう一度キスした 佐和子の緊張が、俺にまで伝染する 俺らしくない… いや、これが本来の、忘れてた俺なのかもしれない
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