忘れないから

６

出逢って４ヶ月

付き合って４ヶ月

もう６月も目前の日曜日

正午前に佐和子をいつもの公園に迎えに行く

いつものベンチに佐和子の姿を見つけた

俺に気付くと、膝上までのスカートを揺らしながら駆けてくる

「今日は和食がいーなぁ」

「どっかいいとこある？」

「…和食は知らないなぁ」

「知らないのに言う？」

「うん、言う！」

満面の笑みとは、こういう笑顔の事を言うのだろう

あの人見知りだった佐和子が、ここまで笑顔を見せる日が来るなんて、思ってもみなかったな

機嫌良く笑う佐和子を見てると、心が暖まる

リクエスト通り少し料金の高い割烹に入り、昼食を済ませた

佐和子も満足したようだ

車に乗ると佐和子が口を開いた

「これからどうするの？」

「どうしたい？」

「宏樹くんちに行きたい」

「…何で？」

俺が普通に居られるかどうか分からないのに

「のんびりしたいから。コンビニ寄って？お菓子買ってこ」

「…ん」

どういうつもりなんだろうか