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しかし、今の状況ではそれが余計に恥ずかしくする。
多分、今、自分はトマトになってるだろう…。
でも、声をかけられた以上なにか返事をしなければならない。
それにこの体制のままだったら、向こうも困るだろう。
私は立ちあがり、ゆっくり、少し、相手の顔がギリギリ見えるぐらいの位置まで顔をあげた。
視界が歪んでよくわからなかった。
駆けつけてくれた人は一瞬驚いた。
思考がうまく回らず何故かと考えていると、
「……大丈夫?」
面倒くさそうな声だ。
理由がやっとわかった。
原因は自分の状態。
上目遣いで、泣き寸だからだ。
私は慌てて返事をする。
「だっ…大丈夫…です…。」
私にはそう答えるのが限界だった。
気づいたらその場から脱兎のごとく逃げ出していた…。
…そこは…山。
木に囲まれている。
近くにはとてもキレイに澄んでいる池と大きな美しく咲く桜。
その少し向こうに木で建てられた家。
よく知っている場所だ。
今住んでる家、隠れ家といってもいいかもしれない。
私の性格上とても居心地が良い。
人見知りというか、ディスコミュニケーションというか…。
あまり人と関わるのが上手じゃない性格…。
(家に入って紅茶でも入れよう…)
家に入って、とりあえずお湯を沸かして紅茶を淹れた。
紅茶を飲みながら落ちつくことにした。
(あのあとどうなったんだろう…。
返事もそこそこに逃げ出したりして…。
私はなんてことを…。)
「…ハァ…。」
(やっぱり…、自分は好きになれない。
よけいに嫌いになった。
人に出来る単純なことが出来ない自分…。
何も考えずに行動して周りに迷惑ばかりかける自分…。
注意力のない自分…。
物事を深く考えるとどんどんネガティブになっていくマイナス思考の自分…。
なにもかも全部……嫌いだ…。)
「…ハァ…。」
(誰だったんだろう…。
まぁどんな人でもあんなことしちゃったんだ…キラわれてるよね。)
「…あー。よし!寝よ!」
(考えたってしょうがないし、このままじゃ悲しくなる一方だ。)
私は紅茶を飲み干し布団にもぐりこんだ。
「……。」
「…スゥ…スゥ…。」
「…っ…うっ…」
「うっう゛ぅ~。」
バサッ
私は飛び起きた。
「ハァハァッ…ハァ…。」
なんだかとても息苦しい…、それに汗で湿っている。
「なっ…何…今の…夢?」
ストーリーが全然つかめない意味不明な夢だった。
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